こだわり② 適期を逃さぬ余裕の刈取り の 2回目

②-② 大型刈取機械の導入

 次に『余裕の刈取り』に向けた取り組みである、『大型刈取機械の導入』についてお話しさせていただきます。

 

『大型刈取機械の導入』

 

は『こだわり①』の精度を高めるだけでなく、更なる食味向上への取り組み『こだわり⑨』をも生み出します。

 

 まず当家が栽培する田んぼは比較的小さな田んぼが主で、20数枚の耕作田のうち、最も大きなものが45a、ついで38a、その次が28a、残りは全て25a未満ですが、通常当家の刈取り面積では使用しない大型の4条刈りのコンバインを使用しています。(通常の方なら一日に100a以上は余裕で刈れる機械です)これは、刈取りにかける時間を極力短くするためです。

 

 

 刈取り時間の短縮は、『こだわり①』を助けます。刈取り時間が長くなると、刈り始めと刈り終りの乾燥ムラが大きくなるからです。そして刈取りにかける時間を短縮することにより乾燥機を稼働させられる時間を長く確保でき、さらに低温で乾燥させられます。

 また刈取った籾を搬送用トラックのグレンタンクに排出する際、籾を一気に排出しているような様子をテレビなどでもよく目にしますが、ああいう排出の仕方では排出した籾が山になりその内部がかなり蒸れます。そのため排出時に籾を散らしながら排出できる機能を持ったコンバイン(あるメーカーの大型の機種にしかこの機能を持つものが無いのです)を使用し、グレンタンクに排出する時点で

 

『蒸れの防止』と『均一な混合』

 

を実施しています。そして刈取り時間が短縮されることで、乾燥機への搬入が2回以上になった際(上記の30a以上の2枚の田のみ)でも、1回目の搬入から2回目の搬入までの空転の時間をかなり短くすることができます。

 

 またこの『余裕の刈取り』は農家にとって大変忙しい秋の時期に、時間的な余裕をもたらしてくれます。普通より少ない面積を普通よりも大型の機械で刈り取ると言う『なんて無駄な!』と他家に言われるこの時短作業は、実はこの後の作業のためでもあるのです。

 

 早々に刈取った後、実は

 

『その日のうちに、その田んぼを耕してしまいます』。

 

 これを実施している生産者は本当に滅多にいません。万が一天候の急変などでその日に耕せなくても数日後には耕します。詳しくは『こだわり⑨』で書きますが、『刈取った日のうち』か『次の日』かでもその成果は大きく違うのです。

 

 こだわり②の第2回、いかがでしたでしょうか。

 実現にはかなり困難を要しましたが、『余裕の刈取り』『食味向上』にはいいことずくめであるということがお分かりいただけたかと思います。

 次回からは、『余裕の刈取り』を本当の意味で可能にした『こだわり③』をご説明していきたいと思います。

 

 

 

 

★稲作用語★ 米粒用語

『籾』(もみ)… お米の周りにまだ硬いからがついた状態の粒のことです。

『籾殻』(もみがら)…籾の周りの「から」の部分のことです。

『玄米』(げんまい)…籾から籾殻を取り除いた状態の米粒のことです。

『精米』(せいまい)…玄米の周りにある薄皮部や胚芽などを取り除く作業のことです。

『糠』(ぬか)…玄米(本当は穀物全般)を精米した際に取り除かれて出てきた、薄皮や胚芽の粉。

『白米』(はくまい)…玄米を精米し、糠や胚芽が取り除かれた白い米粒のことです。

     精米して出来た白米のことを、単に『精米』又は『精白米』と呼ぶこともあります。

『穂(稲穂)』(ほ/いなほ)…稲の花が咲き(そのうち写真で紹介します)

    その後『籾』になったものが房のようにいくつも連なって付いているものです。

 

 ブドウ(巨峰のような)と比べてみると、『房』→『稲穂』、『一粒』→『籾』、『外の皮』→『籾殻』、『皮をむいた中身』(果肉の周りに紫っぽい部分がついている)→『玄米』、『果肉の内側』(薄緑の部分)→『白米』といった感じです。あくまでも個人的イメージです。

★稲作用語★ 農作業用語 その他

刈り旬』(かりしゅん)… ちょうど良い刈り頃のことです。

『刈り遅れ』(かりおくれ)…「刈り旬」を逃して刈る時期が遅れてしまった状態のことです。

登熟』(とうじゅく)…本来しっかりと熟した「完熟」に向け熟していく過程のことですが、「完熟した状態」を「しっかり登熟した状態」のように、完熟と同義語的ニュアンスで使用することもあります。

 

②-② 大型刈取機械の導入